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相続税の申告スケジュール

相続税の申告スケジュール

1. はじめに

前回、相続税申告の対象となる方についてお話ししましたが、もし対象になった場合に、次に確認すべきは相続税申告をいつまでに提出すべきかでしょう。また相続税の申告書の作成をいつから着手しないといけないのかを把握しておく必要があります。
今回はこちらについてお話ししたいと思います。

2. 相続税申告の提出スケジュール

相続税申告は、大まかですが以下のタイムスケジュールに従って行われます。
税務上の手続きが必要なものはハイライトしています。

ここで重要なのは相続税の申告期限です。相続人の方によくある誤解の一つとして、相続財産が確定していないから相続税申告は期限に間に合わなくても仕方がないとするものがあります。
しかしながら相続税の申告期限は遺産分割が確定していなくても提出期限に変更はありません
その場合は、財産が未分割の状態で一度税務署へ申告を行い、遺産分割が確定した後、納税額が増えた場合には修正申告、減る場合には更正の請求の手続きを税務署へ行っていただく必要があります。
なお申告期限に間に合わない場合は、無申告扱いになるので、期限後に申告書を提出しても本来の納税額に加えて罰金および延滞税が課されます。また期限後の申告書を提出する前に税務署が調査に入り納税額を決定した場合はさらに高い罰金等が課される可能性があります。

3. 相続税申告の提出までに要する時間

相続税の申告は、以下のステップを経て税務署への提出および納税が行われます。
(1) 必要資料の収集
(2) 財産等の調査
(3) 財産目録の作成および遺産分割協議
(4) 遺産分割協議書の作成
(5) 相続税申告書の作成および納税資金の検討
提出までに要する時間としては、相続人の数や財産の多寡、遺産分割協議の進捗にも影響されますが、税理士事務所に依頼した場合、およそ6か月程度の余裕は見ておいた方が良いでしょう。
よって申告期限の1か月を切るようなケースでは、そこから申告書作成に着手しても期限内の申告が間に合わない可能性があります。

4. 納税資金の準備

上述のとおり納税は相続開始から10か月以内が原則です。納期限に間に合わない場合には本来の納税額に加えて延滞税が発生します。
従って、相続税額がおおよそ把握できれば、相続人はその資金を準備しておく必要があります。
なお資金の準備の際に注意しておきたい事項として、相続税は被相続人から財産を取得した相続人が複数いる場合は、相続人全員に連帯納付義務が生じますので、自分の負担すべき相続税だけでなく、相続税額を相続人全員で準備できるのか相談しておく必要があります。
相続税申告においては、相続財産を取得した相続人ごとに納税額が計算され、相続人ごとに納付書が作成されるので、自分の負担すべき納税額を支払えば納税手続きは完了とするお考えの向きもあります。しかし実際には相続人の誰か一人でも納付をしなかった場合は、税務署は他の相続人に対して未払の税金の納付を請求することが出来ます。

5. 相続税申告の準備はお早めに

相続税の申告期限は10か月以内で一見すると余裕があるように見えますが、相続税申告は情報の収集やすべての財産の調査等の作業に思いのほか時間がかかります。また相続人間で財産の分割や資金の準備等で何度か話し合いを行う必要もあります。
ご自身で考えるよりも時間がかかるものと思って、早めに相続税申告の準備をすることをおすすめします。