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税務調査が入りやすい会社

税務調査が入りやすい会社

1. はじめに

税務調査と聞くと、多くの経営者の方は正直来てほしくない等良いイメージは持たれないと思います。
まずどのような会社に税務調査は来るのでしょうか?
またどのようにすれば税務調査は入りにくくなるのでしょうか?
今回はこちらを説明したいと思います。

2. 税務署は税務調査に入る会社をどうやって決めているのか

税務調査は国税庁のシステム(KSKシステム)を利用して、税務調査の候補となる会社が選定されます。
KSKシステムでは会社から提出された決算書の情報に基づいて、過去数年の会社の財務情報の変動、類似業種との比較により下記3に述べる異常な数値を見せた候補先が選定されます。この特異な兆候を見せた会社が税務調査の有力なターゲットになります。

3. 税務調査が入りやすい会社とは?

以下のような会社が調査に入りやすいと考えられます。またその理由もご紹介します。

(1) 小売りや飲食業などの現金商売
  請求書や領収証が少なく売上を意図的に隠ぺいしやすいためと考えられます。
(2) パチンコ、土木工事、不動産業などの一定の業種
  他業種と比較して不正な処理が見つかることが多い業種のためと考えられます。
(3) 売上と比して利益が少ない
  利益が出ないよう商品等の期末在庫や外注費等の計上をしていないか確認されます。
(4) 社長一族や関係会社との取引が多い
  身内や関係会社を利用して利益操作、役員の公私混同がないか確認されます。
(5) 多額の固定資産除却損や貸倒損失などの特別損失計上している。
  利益操作のために除却や貸倒れの事実や計上時期が正しいのか確認されます。
(6) 過去の税務調査で重大な不正が見つかった会社
  税務署から悪質な会社と目を付けられているためです。
(7) 長年、税務調査に来ていない会社
  会社の最近の事情を調べるために行われるものと思われます。
(8) 確定申告をしていない会社
  わざわざ説明するまでもないでしょう。
(9) 毎年の売上高が1,000万または5,000万円にわずかに満たない金額で推移している。
  消費税の納税を避けるために売り上げを操作していないか確認されます。
(10) その他
  税理士が関与していない会社、またあまり事例はないようですが、
  身内や関係者からのタレ込みなどが契機となって調査に入ることもあります。

4. 赤字申告だと調査に来ないのか?

「うちは長年、赤字申告で税金を納めていないから税務署が来ても納める税金がないから来ない」とお考えの経営者の方もいらっしゃると思います。しかし残念ながら赤字でも税務調査は入ります
赤字が単純に儲からないために起こったものであればともかく、利益に比べて役員報酬が高額、関係会社へ支払っている経費等のため赤字になってしまった等であれば利益操作が疑われて税務調査が入ることはあります。
会社が赤字であっても源泉所得税や印紙税の調査に来ることは珍しくはありません。
赤字だから調査に来ないと安心するわけにはいかないでしょう。

5. 税務調査を入りにくくするためには

では税務調査に入りにくくなるためにはどうすれば良いのかですが、税理士による「書面添付」という制度の活用が一つの対策にはあると思います。
これは、申告書に押印した税理士が申告書の内容についてどの程度関与し、どのように確認したか説明した書類を税務署に提出する制度です。
この書面の提出があった場合、税務署からの調査対象になったとしても、原則としてすぐに調査に来ることはありません。まず税理士に連絡があり申告内容について聴き取りが行われます。そこで問題がないと判断されれば調査は省略されます。実務でも調査が省略されるケースは少なくないと思います(もちろんそれでも調査に移行することはありますが、その場合は、税務署側は有力な情報を握っていると考えられます)。
書面添付制度を活用すれば税務調査を受ける可能性がゼロになることはありませんが、税務調査を受ける可能性が一般の会社よりも低くなるのは間違いないでしょう。